この冬も、新聞やニュースで
「入浴中に倒れた」「ヒートショックの可能性」
といった記事を何度も目にしました。
毎年、同じ季節、同じような内容です。
そして、この冬も。
「またか」と思いながら、
どこかで「仕方がない」と流してしまっていないでしょうか。
ヒートショックは他人事ではない
まずは、国が出している公式データを見てみます。
厚生労働省「人口動態統計」では、
ヒートショックそのものの死亡数は集計されていません。
その代わりに、浴槽内事故を多く含む
「不慮の溺死及び溺水」という項目が毎年公表されています。
どの年を見ても、
入浴に関係する死亡者数は、交通事故より多い。
しかも、お風呂で暖まった後に、
寒いトイレでなくなったような入浴関連死を
含めると、この数字の倍とも言われています。
あなた自身がヒートショックの心配がない家に
住んでいたとしても、実家や親せき、友人知人まで
含めれば、「まったく無関係」という人は、
ほとんどいないのではないでしょうか。
それでも、交通事故ほど危険視されていないのが、
ヒートショックの不思議なところです。
なぜ、同じことが毎年繰り返されるのか?
理由は、実はシンプルです。
・建物に手を入れていない
・手を入れたくても、入れられなかった
・「寒いのは我慢するもの」と思ってきた
そういう家が、まだ圧倒的に多いからです。
しかも、新築でもそういった家はあるのです。
そしてもう一つ。
ヒートショックは、交通違反のように
誰かが取り締まって防げるものではない
ということも、大きな理由です。
特に多いのが、
リビングだけしっかり暖房して、脱衣所と浴室が寒い家。
この温度差が、血圧の急変を引き起こします。
内窓リノベで、真逆の感想が出る理由
家からの熱が最も逃げるのは窓やドア。
窓リノベ補助金を使って内窓をつけた人の声を聞くと、
「内窓をつけたら暖かくなった」という声も、
「内窓をつけても寒いし、結露が減らない」
と真逆の反応があります。
これは事実です。
では、なぜ効果を「感じる人」と「感じない人」がいるのでしょうか。
住まいを「穴のあいた布の建物」に例えると
住まいを、ところどころに穴があいた布製の建物
だと想像してみてください。
一番大きな穴が「窓とドア」次に大きい穴が「壁」
床、天井、すき間も小さな穴があります。
内窓は、先ほどのたとえで言えば「穴をふさいでいる」対策です。
確かに、窓という一番大きな穴をふさぐ効果はあります。
ただし、建物は窓だけでできているわけではありません。
壁、床、天井、そして見えないすき間。
布地のように、そこから熱や湿気はじわじわ逃げ続けています。
布がゴアテックスなのか、麻布なのかによって変わってくるのです。
だから、内窓をつけて「かなり良くなった」と感じる人もいれば
「結露が完全には直らない」「寒さが残る」と感じる人もいる
また、同じ内窓をつける工事をしても、ただ取り付けるだけか、
建物との隙間を考えて取り付けるかで変わってきます。
やるなら、考え方は二つ
一つ目は、家全体を見直すこと。
断熱・気密・換気のバランスを取り、
部屋ごとの温度差をできるだけ小さくする。
これが、ヒートショック対策としては最も確実です。
先日見学会をやった、住まいはこの例です。
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二つ目には、生活する最低限のスペースをしっかり守ること。
すべての部屋を一気に直すのが難しければ、
リビング、寝室、脱衣所と浴室までの動線
この範囲だけでも、断熱と気密を見直す。
これでも、リスクは大きく下げられます。
「できるかどうか」より、「理屈が分かっているか」
断熱改修は、魔法ではありません。
理屈が分かれば、できることばかりです。
熱は温度差があるところから移動する
湿気はあるところからないところへ移動する
湿気は一番冷たいところで結露する
人の体は急激な温度差に弱い
この基本を押さえた上で、
「どこから逃げているか」
「どこを守ればいいか」を考えるだけです。
やれば、できる
順番を間違えず、感覚ではなく数字で考え、
無理のない範囲から手を入れる。
それだけで住まいは確実に変わります。
毎年繰り返されるヒートショックの記事が、
いつか過去の話になるように。
新年にヒートショックの記事がでない
世の中にしていきたいと思います。