2024年の50年固定金利の住宅ローン(フラット50)の利用者が、2023年の2.6倍になったという記事を読みました。
(2025/1/10 日本経済新聞)
※ブログの後半では新聞記事で触れていない重要なポイントを補足しますので、ぜひ最後までお読みください。
新聞記事の要点
Z世代がフラット50を選ぶ理由
1. 住宅価格が上昇しているため、早く購入したい。
2. 月々の支払を抑え、趣味にもお金を使いたい。
3. 所得の一部を投資信託などで運用し、返済に充てる。
金融機関の狙い
1. 住宅ローンは貸し倒れしにくい。
2. 期間が長いほど利ざやを確保しやすい。
3. 顧客との長期的な関係を築ける。
消費者と金融機関の利害が一致しているため、フラット50の人気が高まっているという内容でした。
さすがZ世代。合理的な選択にも見えますが、注意すべき点もあります。
フラット50の注意点
1. 長期優良住宅の費用
フラット50を利用するには、「長期優良住宅」の認定を受ける必要があります。
この認定を得ることで、長期間にわたり安心して暮らせる家になりますが、審査や基準を満たすために数十万円の追加費用がかかります。
2. これからの50年で変化すること
① 断熱基準の変化
長期優良住宅には断熱性能の基準(断熱等級5)がありますが、これは現在の基準としては十分とは言えません。
特に2050年のカーボンニュートラルを目指す動きの中で、断熱基準は今後さらに厳しくなると考えられます。
加えて、燃料価格の上昇も避けられないため、将来の光熱費負担を抑えるためにも、断熱性能はもう上位等級6、7に上げることを検討すべきです。
② 家族構成やライフスタイルの変化
新婚期、子育て期、リタイア後、高齢期と、ライフステージごとに家族の人数や暮らし方は変わります。
特に50年ローンを組む人の多くは30代前半以下ですが、人生100年時代を考えると、最も長い期間を過ごすのはリタイア後です。
今の自分にピッタリの家が、リタイア後の自分に合うものか、慎重に考える必要があります。
③ 住まいのメンテナンス
50年の間に、屋根や外壁などのメンテナンスが必要になります。また、太陽光発電も設備も交換が必要になるでしょう。
現在は子育て世代向けの住宅取得補助金がありますが、将来も同様の補助が受けられる保証はありません。
そのため、ローンを組む前に、余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。
また、屋根材は瓦やガルバリウム鋼板など耐久性の高いものを選び、外壁も将来的に張り替える前提で考えておくのが賢明です。
④ 住宅設計の工夫
50年後の暮らしを見据えて、住まいの設計も重要です。
・ 2階建てなら、階段の蹴上を低くするか、主寝室を1階に配置する。
・ 可能であれば、将来的に夫婦別室にできるような間取りにする。
・ 交換が難しい設備を避け、メンテナンスしやすいものを選ぶ。
3. 資産運用は長期視点で
物価上昇の中、外貨定期預金や投資信託、保険を活用した資産運用では、年3%以上の利回りを期待できる商品が多くあります。
一方で、フラット50の金利は平均2%程度。そのため、「住宅ローンは低金利で借りたまま、投資で増やす方が得」と考えがちですが、
多くの投資商品は海外の高金利を活用しているため、短期的には為替リスクで損失が発生する可能性があります。
資産運用を行う場合は、短期の変動に惑わされず、長期的な視点で運用することが大切です。
まとめ
いいものを見つけて、結論を早く出すのはZ世代の特徴です。
新聞記事では、量産ハウスメーカーの建売住宅を契約した人の事例が紹介されていますが、おそらく断熱性能は断熱等級5の基準にとどまっているでしょう。
伊那や南箕輪など、この地域でアメックスホームを選ぶ方には20代後半から30代の方が一定数います。
住宅ローンの金利や返済負担だけでなく、
・将来的な燃料価格の上昇
・断熱基準の引き上げ
・ライフステージの変化
・住まいのメンテナンスコスト
・住宅設計の工夫
といった視点も考慮した上で、フラット50を組むというのは、これからの時代にあった有力な選択肢です。
※このブログはフラット50を斡旋しているものではありません。
詳しくは、住宅金融支援機構の公式サイト( https://www.jhf.go.jp/loan/yushi/info/flat50.html )を確認するか、
お取り扱い金融機関にお問い合わせください。