「庇(ひさし)はあったほうが夏は涼しいですよね?」と聞かれることがあります。
確かに、夏の日中に外を歩いていて、建物の影や木陰に入ると明らかに涼しく感じます。
昔の家づくりでも、庇が日差しを遮ってくれることで、室内の温度上昇を防ぐ役割を果たしてきました。
なぜ庇が有効なのか?
それは、頭の上から照りつける夏の日差しを遮って、窓を影にして日射をカットできるからです。
でも、最近の家は「庇がなくても暑くならない」工夫がたくさん詰まっています。
そして今、「日差しを防ぐ」よりも大切なのは、“日中、少ないエネルギーでしっかり冷える家”をつくることかもしれません。
ポイント① 断熱で防ぐ
まずは断熱性能。
屋根・壁・床に高性能な断熱材をしっかり入れておけば、外の熱が室内に伝わりにくくなります。
庇で日差しを遮る以前に、そもそも“熱が侵入しにくい家”にすることで、冷房効率が格段に上がります。
結果として、エアコンの使用量を抑えることができ、省エネにもつながります。
ポイント② 窓の性能で防ぐ
次に大切なのが窓の性能です。
近年はLow-Eガラス(特殊な金属膜で日射をコントロール)を使った高性能な窓が一般的になっています。
特に、日射遮蔽型のガラスは、赤外線をカットして室内の温度上昇を防ぐ効果があります。
日差しは遮りながらも、室内の明るさはしっかり確保できるので、快適さと開放感の両立が可能です。
ポイント③ 窓の配置と数を工夫する
ただし、どれだけいい窓でも、壁に比べれば断熱性能は低くなります。
アメックスホームのように断熱強化を標準(断熱等級6以上)とする家では、窓の数や面積をどう設計するかがとても重要です。
外からの視線を遮りながらも、風や光をうまく取り込む工夫ができれば、庇がなくても快適な暮らしは可能です。
夜は窓を開けて、自然の涼しさを取り入れる。
日中は少ないエネルギーで効率エアコンを使う。
この暮らし方ができるのも、伊那という地域のメリットです。
猛暑日こそありますが、熱帯夜になることはほとんどなく、夜間は気温が下がります。
だから、窓を開けて寝るという選択肢も無理なくできます。
こうした過ごしやすさは、移住者が伊那を選ぶ大きな理由のひとつでもあります。
一方、平屋で窓を開けて寝るのは防犯上不安という声もあります。
その点、たとえば縦長のスリット窓を採用したCASA CUBE Fが答えになるのではないでしょうか。
平屋であっても、外からの視線は遮りつつ、風は取り込む。
そんな“閉じて開く”家のかたちが、現代の住まいにフィットしています。
まとめ
庇がなくても、工夫しだいで夏を快適に過ごすことはできます。
むしろ「庇がないからこそ生まれる、シンプルな美しさ」や「性能とのバランス」を楽しむことも可能です。
日差しを防ぐだけではなく、日中の冷房効率と、夜間の自然の涼しさを活かせる家。
そんな暮らしの工夫もご提案しています。 ぜひ「庇がない=暑い」という思い込みを、少しゆるめてみては?
川合英二郎