「OBのOさんが畑で大切に育てている無農薬野菜を、マルシェみたいな感じで販売したら、きっといい雰囲気になるのでは?」
そんなアイデアから生まれたのが、“おやさいマルシェ”です。
4月のミーティングで話がまとまり、先日無事に開催できました。
計画では、数日前から収穫予定の野菜をインスタグラムで紹介して、来場予定の方々に楽しみにしてもらう予定でした。
ところが、開催の前日にOさんから一本の連絡が。
Oさん「ニンニクと玉ねぎくらいしか、野菜がないんですよ」
1週間ほど前に「もしかすると、あまり採れないかも」と聞いてはいたのですが、
まさか本当にその通りになるとは。
秋山社長に相談すると、
社長「自然のものだから、そういうこともあるさ。あるものを出しておけばいいよ。聖雅と栗林にもそのこと伝えておいてくれ」
と、頼もしい返答。
適当なことをしないで、「あるものを大切に」するマルシェにしようと、心が決まりました。
朝どれ野菜と、Oさんの笑顔
マルシェ当日の朝7時半。
Oさんの畑で収穫をする約束をしていたので、少し早めに向かいました。
2分ほど遅れて、土埃を巻き上げながらやってきたOさん。
いつものように爽やかな笑顔で、こちらも自然と笑顔になります。

自家用車の後部座席は、土で汚れていました。
軽トラに替えたほうがいいのでは…と思ってしまうほど、野菜づくりに情熱を注いでいる様子が伝わってきます。
Oさん「ジャガイモ、掘ってみます? ちょっと早いかなあ……あ、小さいですね」
川合「小さいけど、皮ごと素揚げして塩ふったら最高ですよ」
Oさん「紫玉ねぎは、全部掘っていいですよ」
川合「ほんとですか?」
日中は30℃超えの予報でしたが、この時間はまだ20℃台前半。
乾いた空気の中、心地よい収穫作業でした。
野菜の根元ではアマガエルがごそごそ動きながら、まるで「ここ、無農薬ですよ🐸」と身体を張って証明していました。
予定がある中、朝から時間を作ってくれたOさんに感謝して、三河のお菓子“きらずあげ”をお礼に渡し、事務所へと向かいました。
Oさんがあらかじめ用意してくれていたニンニク、玉ねぎ、紫玉ねぎに加えて、その場で掘った蕪、小さな大根、小ぶりのメークイン。
どれも自然の力強さを感じさせてくれる野菜たちです。
自然のままの野菜が並ぶマルシェに
事務所に到着すると、すでに野菜がきれいに並べられていました。
聖雅さんが、知り合いの認定NPO法人「フリーキッズ・ヴィレッジ」に相談し、マルシェ用に野菜を準備してくれていたのです。
フリーキッズの野菜も、Oさんの野菜も、自然農法で丁寧に育てられたもの。
ずらりと並べると、それだけで立派なマルシェの雰囲気ができあがっていました。

新人の栗林さんも、社長の「やっとけよ」という一言を受け、どう動くかを自分なりに考え、試行錯誤しながら準備に取り組んでくれました。
「お客さん、来てくれるかなあ」と少し不安もありましたが、OBさんやそのお友だち、インスタを見て訪れてくれた方など、次々と足を運んでくださいました。
Oさんもご家族と一緒に立ち寄ってくださり、しばらく販売のお手伝いをしてくれました。
またやりたくなる理由
お客様は20分に一組ほどのペースで来場。
15分ほど会話を楽しんで、野菜を手にして帰られる——そんなゆったりとした時間が流れていました。

終了時間の16時が近づくころ、朝どりの蕪と大根の葉がしおれてきて
「冷やしたり、水分を補う準備が必要だったな」と反省しつつ
「大根の葉っぱと蕪の葉、ごま油でさっと炒めて、みりんと醤油で味付け、仕上げにかつおぶし……絶対おいしいのに」
と眺めながら、片付けの準備を始めました。
夕方、事務所で作業していた社長が出てきてひとこと。
社長「川合さん、これでうちの儲けはいくらよ。ゼロ円だよ」
それでも、なんとも嬉しそうな表情でした。
これまでは、イベントを開くとなれば全員が総動員されるのが当たり前でした。
でも、今回はスタッフが増えたことで、OBさんや地域の方々の力を借りながら、分担して開催することができました。
こうした温かいコミュニケーションの場は、これからのアメックスホームにとって大切なもの。
きっと、また“おやさいマルシェ”をやることになると思います。
(川合英二郎)